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記憶は無声映画じみていて呼ばれた名だけが飛び石のように


その頃はきっと手ぶらの旅人と宣う人の鉢植え青く


デザートを取り分けて曰く幸福の均等化を図るためとか


砂漠まで連れ立つ口約束を君の舌根に溶かして忘れる





夜遠く 貴方の髪を寝台へ還す両手は痺れていたか


これは牙、これは翅と模って 名づけられる歓びは鐘の音


貴方の街と呼ぶ朝は来ないのだろう 誰しもの宿りであれば



 真昼間を引き連れ帰る背の骨を 称えずに居る、貶さずに居る


 春の色は青だと思う 寝癖だし、擦って潤んでこっちを見るし


「笑ってよ、クラスが離れる心配がなくなってから四月が好きだ」


 満ちているように見えたら中身を当てて 古びることは怖くないから

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